L'ULTIMO BACIO Anno 08ロゴ

2008/12/21〜12/24 Yebisu The Garden Hall ライブ・レポート

出演:コトリンゴ / 羊毛とおはな

 12/21は08年の音楽シーンに新しい風を巻き起こした女性ボーカリスト二組が登場。今年の締めくくりでもあり、09年の ボーカル・シーンを占う初日となった。
ステージにはグランドピアノ。今年のバーチョはピアノが入った編成の出演アーティストが多く、このピアノが4日間、大活躍することになるのだが、まずはコトリンゴのファーストタッチが素晴らしかった。彼女の指が鍵盤に触れると、ピアノの隅々までがきれいに響く。そんなきらきらした音に包まれながら、英語と日本語の歌 詞が自然に混じった「Me & my bird prince」の弾き語りで ライブが始まった。途中、ラグタイム・スタイルのピアノになったり、自由自在な変化が楽しい。弾き語りの最後、「こんにちは またあした」では切ない歌詞の内容を反映するように、少しくすませたピアノの音色が効果的だった。
 そして今回はここからベースとドラムが加わる。観客の期待と同時にコトリンゴの緊張も高まってしまったのか、なんと予定のセットリストから一曲飛び越して「デイジー」へ。それでも予定の曲順を知らなければ、なんの違和感も感じない。が、終わって「間違えてごめんなさい」と素直に謝ってしまうところが彼女らしい。リズムセクションを得て「だいすきなひと」などをいっそう伸びやかに歌い、ラストの「to stanford」で再び弾き語りに戻ったコトリンゴは、夏の本門寺よりひと回り成長したパフォーマンスを見せてくれたのだった。

 後半は、カフェでのライブで注目を集めた羊毛とおはな。ボーカルの千葉はなとギターの市川和則の2人組ユニットだ。「The Christmas Song」からスタート。雰囲気たっぷりのギターに、ピンポイントで合わせたような歌が見事。ひと言挨拶してそのままグルーヴィーなナンバー「Englishman in NY」に移っていく。スティングの名曲のカバーなのに、まるで彼らのオリジナルのように聴こえるのは、ふたりのアーティストとしての意思がしっかり統一されているからだろう。
3曲終わったところで、「初めて見る方も多いと思います。紹介します。ギターの羊毛くんです!!昔はこう言うと爆笑だったのに、今は普通になりました(笑)。コトリンゴさんとは3回目の共演です。同い年だったりするので、今夜は友達になろうっていう作戦です」。そして、ピアノの小林創を呼び込んだ。「手のひら」などのオリジナル、「Perfect」などのカバーを織り交ぜて、楽しくステージを運んでいく。リラックスしたムードを作り出すのが羊毛とおはなの特長なのだが、この日はいい意味で繊細な部分が前面に出て、コトリンゴと同じく、大きな成長を感じさせた一時間だった。
 アンコールはコトリンゴと羊毛とおはなが合流して、「ホワイト・クリスマス」。最初はコトリンゴのピアノをバックに千葉はなが歌い出す。まるで雪が舞うようなピアノに、温かいはなの声がよくマッチして会場が聴き入る。2コーラス目からギターが入って、コトリンゴが歌うと、おはなはクリスマス・ベルを鳴らして盛り上げる。最後はふたりがユニゾンで声を合わせて歌い、素敵なエンディングとなった。

◎SET LIST
コトリンゴ
  1. me & my bird prince〜let it snow
  2. runawaygirl
  3. こんにちは またあした
  4. closet
  5. デイジー
  6. おいでよ
  7. chocolate
  8. summer
  9. だいすきなひと
  10. ふれたら
  11. to stanford
羊毛とおはな
  1. The Christmas Song
  2. Englishman in NY
  3. ふゆのうた
  4. ララルラ ラルララ
  5. 手のひら
  6. Perfect
  7. Sweet Georgia Brown
  8. 明日は
  9. おまもりのうた
  10. カントリーロード
encore
  1. White Christmas w/ コトリンゴ
出演:BAHO(Char/石田長生) / 泉谷しげる

 12/22は今回のバーチョで最も注目の対決だ。おっと、対決じゃなかった、旧友再会のジョイント。それにしてもこれまでのバーチョにはない骨っぽい組み合わせなのだが、実はこの企画が生まれたのは3年前。ロックとワインの組み合わせもいいんじゃないかとスタッフ一同盛り上がり、ようやく実現の運びとなったのだ。
 Charと、石やんこと石田長生という東西のトップ・ロック・ギタリストが、アコースティック・ギターを抱えて息の合った爆笑パフォーマンスを繰り広げるBAHO。名前の由来は、バカとアホの合体。が、取り上げる曲のいちいちがロックのスタンダードで、オーディエンスをうならせる。「この師走の忙しいときに、どういうつもりで泉谷なんか見たいんですか。しょうがないから前座で出てきました」と、まずはCharがジャブを繰り出すと、会場は大笑い。そのまま「ベンチャーズ」メドレーに突入。有名なエレキ・ナンバーをアコギで踏破しながら、途中に「高校三年生」などを無理やり入れ込んだり、とにかくネタ満載。
Charが「10代のとき、一回だけ泉谷のバックバンドやりました」と言うと、「俺も一回やって、クビになった。ま、泉谷さんは素晴らしい哺乳類ですから、共演するのは犬に噛まれたようなもの」と石やんが笑わせてから演奏したビートルズの名曲「HERE THERE & EVERYWHERE」が素晴らしかった。ふたりのアコギの柔らかい音色が、歌モノとはまた別の感動を運んでくれる。ただのお笑いであるわけもなく、音楽好きならではの展開がBAHOのすごいところだ。
後半は石やんが歌う「HAPPINESS」で、観客が立ち上がってハンドクラップするは、歌うはの大団円。ラストはCharのキラーチューン「SMOKY」で締めたのだった。さらに去るとき、Charが石やんのギターを観客にプレゼントしようとするシーンに爆笑が起こり、会場はすっかりヒートアップして泉谷にバトンが渡される。“前座”BAHOは、いい仕事しますねぇ(笑)。

 泉谷しげるが独特のシルエットで姿を現わすと、会場から大きな歓声が上がる。アコギを抱えながら「業火」「すべて時代のせいにして」を一気に歌う。途中でギターを背中に回すシーンがかっこいい。泉谷の時代を打ち抜く力は、衰えるどころか、以前より増している。早くもうっすら汗をかき、息をはずませて話し始めた。
「あー、疲れた。こんな“オサレ”なところに呼びやがって。二度と使えないようにしてやる。あー、ダメだダメだ。来年5月にここでライブやることになってるからよ」と、最初の毒舌が飛び出す。と、客席から「頑張れー」と声がかかった。「頑張れってどういうことだ。金払って俺を励ますのか。ふざけんな。お前たちの温かい拍手が迷惑なんだよ。黙って聴いてろ」。
 ここからはバンドが引っ込んで、弾き語りタイム。「つなひき」、そして「春夏秋冬」フルバージョンが、毒舌とは裏腹にしみじみ心に染みる。新曲「回帰線」も、ザクリと刺さるナンバーだ。
「まだ半分だぞ。私と付き合うのは体力勝負ですからね」という泉谷の言葉どおり、スタミナ勝負の後半戦。ここからが半分どころか普通のライブ一本分くらいあったのだから、大変。バンドが戻ってきて「褐色のセールスマン」などガンガン飛ばす。Charが参加して「火の鳥」「眠れない夜」とハードなロックを立て続けに。中でも「眠れない夜」のCharの華麗なギター・ソロが出色だった。
  アンコールで泉谷が掟破りを連発。「写真ターイム!」と叫んでケータイで写真を撮影するのを堂々と許可したものだから、ステージ最前列に観客が殺到。そのままBAHOを招き入れて「俺のアンコールがどんなに過酷なものか知らねーだろ。ありがたいと思え。感動は強制だ!」と名言を吐き、「野生のバラッド」を22分間も歌い騒ぎまくる。前代未聞のエンディングで、記憶に残るライブになった。

◎SET LIST
BAHO(Char/石田長生)
  1. ベンチャーズ
  2. HARD ROZZ
  3. HERE THERE & EVERYWHERE
  4. ALL AROUND ME
  5. AMIGO
  6. OSAMPO ll or 表参道
  7. BAHO`S BOOGIE
    〜BAHO B GOOD
  8. HAPPINESS
  9. SMOKY
泉谷しげる
  1. 業火
  2. すべて時代のせいにして
  3. 街からはなれられない
  4. 寒い国から来た手紙
  5. つなひき
  6. 春夏秋冬
  7. 回帰線
  8. ハレルヤ
  9. Dのロック
  10. 褐色のセールスマン
  11. 火の鳥 w/ Char
  12. 眠れない夜 w/ Char
  13. 時よ止まれ君は美しい
encore
  1. 野生のバラッド w/ BAHO
出演:Jammin`Zeb / 古内東子

 大騒ぎの前夜とは一転、12/23は静かでしっとりした一夜になった。
 オープニング・アクトで登場したのは、→Pia-no-jaC←。08年後半、全国各地のヴィレッジバンガードで話題をさらったインスト・デュオだ。編成はピアノのHAYATOとカホーンのHIROのふたり組。バンド名を左から読めばピアノ、右から読むとカホーン(cajon)になっている。1曲目の「組曲」が始まると、客席のあちこちで「あ、これ、知ってる」というささやきが聞こえる。「小フーガ ト短調」であったまってきたところで「クリスマスメドレー」で会場から手拍子が起こると、すっかり→Pia-no-jaC←ペース。5曲のパフォーマンスだったが、その音楽とキャラクターをしっかり印象付けていた。来年の大活躍が約束されたニューカマーの初披露となった。

 Jammin' Zebも08年に注目を集めたアーティストのひとつ。 Kojiro、Steve、Lensei、Simonの4人がハーモニーを聴かせる正統派のボーカル・グループだ。
 バックバンドのラテンリズムに乗って4人が現れると、ステージは華やいだ雰囲気に。ジャズ・スタンダード「Take The “A” Train」やオリジナル「Dream」、山下達郎の「Christmas Eve」をイングリッシュ・バージョンでカバーする。穏やかだが、しっかりとしたハーモニー・ワールドがガーデンホールを包む。
 Jammin' Zebが持ち味を発揮したのは、アカペラだった。ウクライナ民謡をアレンジした「Carol Of The Bells」、バースから彼らならではの美しさが広がった「When You Wish Upon A Star(星に願いを)」、そして観客への最高のプレゼントとなった「We wish You A Merry Christmas」の3曲がステージと客席をぐっと近づける。ラスト・ナンバーはオーストラリア人の母親を持つメンバーのLenseiが作詞した「Peace On Earth」で、歌う前にLensei自身が日本語で一生懸命、歌詞の内容を解説する姿が微笑ましい。会場から起こったハンドクラップが歌の意味とぴったり重なって、みんなが笑顔になった。

 続いて黒のドレス姿の古内東子が座ると、漆黒のグランドピアノとあいまって、シックなムードがホールを支配する。さらに彼女の指がカデンツァを奏で始めると、もう会場が東子の世界に染まっていた。今夜はウッドベース大神田智彦とのデュオ・スタイルだ。
「game」を歌い終えて話し始める。「素敵なイヴイヴですね。自分で言うのもなんですが、今日は紅一点、“シミ系”担当です。『明日のイヴもひとりだわ』みたいな人にも優しいライブです(笑)。そんな角度から逆説的にクリスマス気分を盛り上げていこうかな。つい先週までツアーをしてました。今年はアルバムも出て、そのタイトル曲をやってみたいと思います」と、幾度も幾度も恋に落ちる女性を描いた「IN LOVE AGAIN」を歌う。ツアーで歌い込んできたからこその語り口で、古内ならではの切なさが会場を満たしていく。その自信は懐かしいナンバーにも発揮され、3曲目「星空」は名曲の名に恥じない歌となった。
「さっき、ガーデンプレイスに飾られてるバカラのシャンデリアを見てきました。ブログにアップしたので見てくださいね。次の『誰より好きなのに』もまた切ない曲です。結婚式で歌うことも多いんですが、いいのかなと思うんですけど、新郎新婦に頼まれるから」と笑わせる。この曲と「淡い花色」は、ピアノも含めてさすがのパフォーマンスだった。
「どうぞ来年もよろしく。切ない歌ばっかりだったので、最後は帳尻合わせるようで申し訳ないんですけど、隠し玉のクリスマスソングを」とストレートなラブソング「Xmas Present」でちょっとだけ明るく終わった。
 アンコールで再びステージに戻ってきた古内は「もう一曲だけ。手拍子くださっても、よろしくってよ。あれ? くださってもよろしくってよ、って、ちょっと変ですね。手拍子、ください」と「Beautiful Days」を歌い、そのままJammin' Zebを呼び戻す。4人も黒のスーツなので「私たち、真っ黒ですね」と笑顔で始まった「The Christmas Song」は、女性としては低音が強い古内とJammin' Zebの相性が抜群で、この夜限りのハーモニーがとても心地良かった。

◎SET LIST
→Pia-no-jaC←
  1. 組曲
  2. 小フーガト短調
  3. クリスマスメドレー
  4. 第九
  5. Jack
Jammin`Zeb
  1. Take The "A" Train
  2. Dream
  3. Christmas Eve
  4. Carol Of The Bells
  5. When You Wish Upon A Star
  6. We Wish You A Merry Christmas
  7. Let It Snow Let It Snow Let It Snoow
  8. When I Fall In Love
  9. You Raise Me Up
  10. Peace On Earthat the oasis
古内東子
  1. game
  2. IN LOVE AGAIN
  3. 星空
  4. 逢いたいから
  5. 銀座
  6. 誰より好きなのに
  7. 淡い花色
  8. 歩幅
  9. Xmasa Present
encore
  1. Beautiful Days
  2. THE CHRISTMAS SONG
    w/ Jammin`Zeb
出演:細野晴臣 / アン・サリー

 最終日は2008年のクリスマス・イヴ。アン・サリーと細野晴臣という空前の組み合わせに、開演前から熱気が漂う。ガーデンプレイスもイヴ本番とあって、クリスマス気分は最高潮だ。楽屋でもテーブルに置いてあるちょっとしたスイ―ツやその包み紙などに、そんな気分がにじみ出ていて、前の3日間とは雰囲気が少しだけ違う。
 バンドが登場すると、そんなムードがいっそう濃くなる。ギター津村和彦、  ピアノ小林創 、トランペット飯田玄彦、そして今夜はアイリッシュハープの吉野友加がいることで気持ちが高まる。アン・サリーも髪を高く結って、神聖な雰囲気だ。ガットギターがイントロを奏で、アンがそれに乗って歌い出す。なんてきれいな声なのだろう。他の楽器が加わって、澄み切ったサウンドが待ちかねたオーディエンスの耳を潤す。ギターソロが終わるころ、心なし青白かったアンの顔が紅潮してきた。
 「みなさん、今晩は。ようこそいらっしゃいました。今日はイヴということで、私も前頭葉を肥大させまして(笑)ホーリーな雰囲気でお送りしますので、ゆっくり楽しんでいってください」。「DANCA DA SOLIDAO」は、ハープから。言葉の美しさがそのまま曲になったような歌で、歌にリードされてそれぞれの楽器がさまざまな色の光を発しているように聴こえてくる。「しっとりした曲がふたつ続きましたので、ついでにみなさんにプレゼントとして一曲贈ります」と「The Christmas Song」。これもイントロのハープのアルペジオがクリスマス気分を盛り上げる。小林のピアノ・ソロ、飯田のミュートをかけたトランペット・ソロもいい。
 「小林さんはいろいろな音楽を知っていらっしゃる方なんですけど、その中でも今の曲がいちばん好きだそうで、リハーサルでも涙ぐんでました」とアン。「ということで、次は私がサンフランシスコで過ごした思い出をみなさんにお届けするつもりで、お手を拝借」といなせな調子で、昭和歌謡の名曲「サンフランシスコのチャイナタウン」をユーモアたっぷりに歌う。
「素晴らしい手拍子をありがとうございます。今日は細野さんトリビュートということで、ホーリーな雰囲気でこの曲を」と言って歌い出したのは、細野が松田聖子に書いた「ガラスの林檎」だった。これには会場の細野ファンが大喜び。しかも聖子バージョンとはまったく異なる表情のアンのボーカルが、とても新鮮だった。「蘇州夜曲」ではハープが大正琴のように響き、ニューオリンズ・スタイルのバックにポルトガル語で歌った「チャタヌガーチューチュー」は細野も得意のナンバーで、ウィットに富んだセットリストに会場はますますリラックス。マリア・マルダーの名曲かつ難曲「Midnight at the oasis」を歌いこなすアン・サリーに、客席は大いに沸いたのだった。

 ステージに“DAISY HOLIDAY”と書いた電飾の下に真っ赤なカーテンのがセットされている小さなゲートが置かれている。まずはワールドシャイネスのメンバー、ギター徳武弘文、ペダルスティール&マンドリン高田漣、ウッドベース伊賀航パーカッション浜口茂外也が位置に着く。しばらくして、右の方からハリー細野が現れ、例のゲートの後ろに回りこみ、カーテンを割って改めて登場すると大歓声と拍手が起こる。黒のギブソンのアコギを弾きながら、ハリーがたっぷりしたリズムでブルース「Lazy Bones」を歌い出した。太くてよく響く声、そして何より、オンリーワンといえるグルーヴが気持ちいい。みんな、このグルーヴが聴きたくて今夜ここに集まっているのだ。
 「今までアン・サリーさんがホーリーナイトを本気でやってくれてましたんで、ここからは余興です」とアコーディオン&ピアノのコシミハルを呼び入れる。「ここからはホーリーじゃなくて、ダーティー・ハリーで行きます」と細野が言うと、メンバーも笑いをこらえ切れずに吹き出した。
 またまた複雑で滋味深いリズムの「Pistol Packin' Mama」。スピーディーなラグなのだが、プレイヤーそれぞれが異なるグルーヴを醸し出し、その隙間をコシのアコーディオンが不思議な粘着力で埋め、つなぎとめる。まったくこのバンドにしかできない必殺技だ。
 「ワールドシャイネスは夏のくるりの京都のイベントで解散したつもりだったんですけど、クリスマスだからって再結成しました。こうやってだらだらやるのもいいなあ。来年もやるつもりなんで、よろしく」とハリー。そう、こんなグルーヴィーなライブをやれるバンドは世界でただひとつなんだから、だらだらやってくださいと言わんばかりの大拍手が起こった。そんな会場の気持ちを察したように演奏した「Hong Kong Blues」が楽しかった。
最新のオリジナル「アーユルヴェーダ」、遭難したタイタニックに捧げた古いバラッドを発掘した「When the great ship went down」と、まさに細野ワールドとしか言いようのない音楽が次々に。どの曲も短いのだが、十分楽しめるのがバンドの力量というものだろう。カントリーブルース調の「Jungle Bells」や、待ってましたの「POM POM 蒸気」、高田のマンドリンが大活躍の「Sports Men」を粋にやっつけて、「どうも。よいクリスマスを、よいお年を!」と言い残してダーティー・ハリーは去っていった。
 アンコールでハリーはバンドに遅れてアンと一緒に真っ赤なカーテンを割って登場。またまた大きな拍手が起こる。以前、ふたりでレコーディングした「三時の子守唄」をデュエットする。「今日しかできない曲をもうひとつ。一番は僕から歌うから」と前置きして始まったのは「White Christmas」だった。
 最後まで変幻自在のリズムが飛び交う。人間の作り出すリズムの豊かさを堪能したライブだった。そして、このセンスをもってテクノの創始者となった細野晴臣というアーティストの懐の深さをしみじみと感じた。バーチョ史上に残る、最高のイヴだった。

◎SET LIST
アン・サリー
  1. I wish you love
  2. Danca da Solidao
  3. サンフランシスコのチャイナタウン
  4. ガラスの林檎
  5. 蘇州夜曲
  6. チャタヌガーチューチュー
  7. 時間旅行
  8. Midnight at the oasis
  9. ハレルヤ
細野晴臣
  1. Lazy Bones
  2. Pistol Packin' Mama
  3. I'm fool to care
  4. はらいそ
  5. Hong Kong Blues
  6. アーユルヴェーダ
  7. When the great ship went down
  8. カビリアの夜
  9. Winter Wonderland
  10. Jingle Bells
  11. POM POM 蒸気
  12. Body Snatchers
  13. Sports Men
encole
  1. 三時の子守唄
  2. White Christmas
 
カメラマン 堀清英 / ライター 平山雄一
本イベントで使用する電力3,000kWhは、水力発電で賄います。