Slow Music Slow LIVE'08 in 池上本門寺 2008年8月22日(金)23日(土)24日(日)
■□■ ライブレポート(ダイジェスト) ■□■
 今年の“SLOW MUSIC SLOW LIVE”は突然の涼しさや降雨があったものの、8/22、23、24の3日間に渡ってクオリティの高いライブ・パフォーマンスが展開された。
 初日のラインナップは、コトリンゴ、手嶌葵、遊佐未森、平原綾香で、『Fresh&Innocent』というタイトル通り新鮮で澄み切った声を持つ女性ボーカリストが競演。猛暑の続く中に吹いた新涼の風にような歌が、オーディエンスの心に吸い込まれていった。
 コトリンゴは大胆かつ繊細なピアノ・プレイとボーカルで、初めて彼女の歌を聴く人を魅了した。手嶌葵はいきなり代表曲「テルーの唄」でリスナーの耳を惹き付け、「デイドリームビリーバー」や「元気を出して」など洋邦のポップナンバーをカバーして、もうひとつの魅力をアピール。遊佐未森はマウンテンダルシマ−などの楽器を駆使して、遊佐ならではの個性的な雰囲気を醸し出した。トリの平原綾香はさすがの存在感。アップテンポのサマーチューン「さよなら私の夏」など新たなチャレンジを聴かせてくれた。
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コトリンゴ 手嶌葵 遊佐未森 平原綾香
 2日目は『King Harvest』。収穫の秋にぴったりのア−シーなアーティストが集まった。
 トップバッターのミナクマリは、Charaのレコーディングなどで活躍する女性シタール奏者。おそらく本門寺の境内にこのインドの楽器の音が響くのは初めてのことだろう。とてもよく似合っていた。多和田えみは、ニューカマ−とは思えない風格がすでにある。この日のテーマにぴったりの、ダウン・トゥ・アースな歌を聴かせてくれた。おなじみ、ジェイク・シマブクロはニューアルバムの曲を交えて、ステージの端から端までを使っておおいに盛り上げてくれた。飛び入りで羊毛とおはなが短いライブを行なった後、登場した元ちとせは、最新アレンジで「ワダツミの木」を歌ってそれまでの流れを塗り替える。アーティスティックなステージで、線の太いボーカリゼーションを繰り広げた。そしてラストはBAHO。雨を吹き飛ばすとはこういうライブのことを言うのだろう?快でユーモアたっぷりの演奏と歌に会場が盛り上がる。アンコールは予定外の「ハレルヤ・アイ・ラブ・ユー・ソ−」まで飛び出して、3日間で最高のスタンディング・オベーションとなった。
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ミナクマリ 多和田えみ ジェイク・シマブクロ 羊毛とおはな 元ちとせ BAHO
 最終日は『Beautiful Vox』。ロマンティックでポップなシンガーが次々と出演。
 羊毛とおはなは、ギターとボーカルというシンプルな編成を活かし切ったサウンド構成。NOKKOの名曲カバー「人魚」で大きな拍手を浴びていた。このところTVCMで活躍の土岐麻子は、声を出した途端、納得したオーディエンスが多かったはず。スタンダードの「Waltz for debby」などじっくり聴かせた。元祖“カバー・ヒット”のSotte Bosseは、オリジナルをフィーチャ−したステージで次のステップに進んだことを大きくアピール。明るくさっぱりしたステージで好キャラクターを印象付けた。ここでこの日の飛び入り、コトリンゴが登場して、コケティッシュな歌を披露。続いて、“SLOW MUSIC SLOW LIVE”3年連続出演となる中孝介が、渾身のボーカルを聴かせてくれた。奥田民生の「手紙」など、カバーを含めて完全に“中ワールド”を現出したのだった。そしてイベントの大トリを務めたのは、アン・サリー。凄かったのは、「満月の夕べ」だった。ヒートウェ−ヴの山口洋とソウル・フラワー・ユニオンの中川敬が共作し、阪神大震災に捧げられたこの曲は、決して忘れてはならない出来事の優れたドキュメントであり、その意味では日本最高の叙事詩=バラッドのひとつと言っていい。アン・サリーはその歌を、オーディエンスの記憶回路に直接注入するように歌い、大きな感動を呼んだ。雨の中でのライブで、寺の境内の五重塔の上に出る月は見れなかったが、彼女の歌がそれを充分に補っていた。この夏のライブで聴いたベストチューンと言っていい。
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土岐麻子 Sotte Bosse 中 孝介 アン・サリー
 
カメラマン:堀清英
ライター:平山雄一